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執筆者の写真Saori Ushijima

災害時の心理で大切なこと【トラウマと災害】

こんにちは。

九州は蒸し暑い日々が続いています。


しかし、熱海では土砂崩れが発生し、

今でも安否確認が続けられています。

生存者の一刻も早い発見と手当て、

そして被害にあわれた方々のケアと回復を

お祈りいたします。


さて、今回は、疲労回復はさておきまして、

災害にあったとき、心理的にはどんなことに注意すればよいか

というテーマでお話したいと思います。


 

規模はどうあれ、突然やってくる災害というのは

トラウマと結び付けられてよく論じられます。


しかし、一般的なトラウマ障害であるPTSDは、

実は被害にあってから3か月後にも、まだ症状があったり、

3か月以上経過した後に、突然症状が発現する場合をいいます。


それより早い段階(被害発生から1、2か月)での

・フラッシュバック

・被害にあった場所を避けようとする

・眠れない、緊張が続く

などの症状は、急性トラウマ障害ASDといいます。


PTSDでは、専門的なカウンセリングや、投薬治療などが必要ですが、

ASDの場合は、自然な治癒や、周囲の協力によって

早期に回復する可能性も十分あり得ます。


それが、「サイコロジカル・ファーストエイド」です。


これは大規模災害で、専門家の手が行き届かない場合も、

一般の人が心理的にお互いに助け合えるよう考えられたものです。

WHOが発行している手引きの日本語訳がありますので、

落ち着いているときに一読しておくと良いかもしれません。

https://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/pdf/who_pfa_guide.pdf


しかし、これは丁寧すぎて、なかなか最後まで読めない人もいるかと思いますので、

私的に、大きな災害時の心理的な支援をするために

大きなポイントと考えている点をお伝えします。


それは、

できる範囲で、「日常を取り戻すことを意識する」です。



これは、相手が子どもや高齢であるほど重要です。

特別なカウンセリング技術や、被害のことを話させたり、

何か癒しのワークなどをするのは、不必要か、もっと先の段階です。


それよりも、

・たとえ避難所生活でも、遊具を作って遊んだり、遊びの時間がある

・周囲の人が普段と変わらないテンションで、とりとめのない話ができる

・普段と同じ生活リズムで、役割としての「仕事」がある

など、「安全な日常」をすごす時間をとることが大切です。


もちろん、ご自身が大きく動揺していたり、普段とちがう生活で疲労がたまっていれば、

無理をして普段通りにふるまう必要はありません。


しかし、隣にいる誰かが、どうにもならない恐怖におびえていて、

何とかその人のためにできないかと考えていらっしゃるとしたら、

どうか、一緒に飲み物でも飲んで、たわいない話をしてあげてください。

子どもであれば、一緒に遊んであげてください。

お年寄りであれば、何かの仕事をしていただいたり、知恵をお借りしてください。

それが、ASDの症状を早く落ち着かせたり、

ひいては、PTSDの症状を予防することにつながります。


 

どうか、早く本当の日常が取り戻せますように。

その日が来るまで、できる範囲で、日常に戻る時間を作れますように。


ご無理のない範囲で、ご参考になれば幸いです。

では、また次回。

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