↑これは資料写真です!
先日、ちらりと「私はADHDです」と申し上げました。
そうなんです。私はADHDという発達の偏りを持っています。
ADHDは、多動性(ソワソワして落ち着かない)、衝動性、
不注意という3つの特徴を持つ発達上の偏りです。
アスペルガー障害とともに、日本では発達障害のくくりで
ここ10年は有名になってきました。
現在は、精神医学的には発達障害という概念はなくなって
自閉症スペクトラムというものに統合され、
それによってADHDの概念も多少変わってきています。
けれど、それでADHDによる困難が変わるわけではないので、
私を含めいろんな方が今日も苦労されていることと思います。
ADHDといっても、その特徴の現れ方は人それぞれで、
私の場合は、ということに限られてしまいます。
それでも、この「片づけられない」という訴えは、
私のお会いしたADHDの方々はみなさん持っていらっしゃいました。
特に女性は、「女の子なのに」と言われたりであるとか、
男性も「デスクが汚いのは仕事のできない証拠だ」と言われたり。
(整理整頓と仕事の能力には本来何の関係もないですけどね!)
あらゆる面で「人ができて当たり前のことができない」ことが
その人の人格や能力の証左であるようにいわれてしまい、
傷つくことの多い人の、なんと多いことか。
でも、せっかくカウンセリングを受けるのであれば、
「困りましたねぇ」「それはひどですね」と言われるだけでは
もったいないですよね。
そこで、私なりの、片付け術を今回はご紹介したいと思います。
私も、長らく「片づけられない女」でした。
人生の大半は、カビとホコリとともに生きてきました(笑)
でも、お見せできないのが残念ですが、今はとても綺麗な部屋にでき、
それをキープできています。
「毎日5分!」とか、「収納術!」とか、それを楽しめればいいのですが、
コツコツ、というのが一番苦手なADHD。
もちろん続かない。疲れたら終わり。飽きたら終わり。
私が長年、自分の個性と向き合いながら編み出した片付け術で、
これを読んでいるどなたかが、少し楽になれたら幸いです。
1.風水を調べてみる
…しょっぱなから、怪しいですね(笑)
でも、ADHDに必要なのは、モチベーションです。
それが、きれいな部屋に住む、とか、片づけられる私になる、などでは
ちょっと弱い。
だって、それは片づけた後の状態であり、モチベーションではないからです。
「どうせこれからも汚部屋住人ですよ~」
というマインドになれば、かき消えてしまうはかないビジョンでしかないのです。
そこで風水の登場です。
水回りをきれいにすると金運が!!!
とか、
すべての良い気は玄関と床から!!
というのを目にすると、「金運!金運!」「良い気!良い気!」と思って掃除をするモチベーションが上がります。
別に本当に金運があがらなくてもよいのです。
金運が良くなることをして、さらに部屋がきれいになっちゃうなんて最高。
「西に〇〇を置くと金運が…」というものは無視しました。
物を増やすのは、掃除のモチベーションにならないからです。
こうして、掃除モチベーションのための風水を活用していきました。
まあ、でも本当に掃除するようになってから結婚相手と出会ったり、
こうして開業できたりもしているんですけどね…(にやり
風水でモチベーションがあがらなければ、「モテ男の部屋をつくる」とか、
「理想のカントリー風キッチンを完全再現」など、自分が陶酔できるものであれば
なんでもいいのです。
ADHDのモチベーションは、地に足がつかないほうが有効です。
2.掃除は手順を考えない
「掃除をしよう。まず床のものを所定の位置に戻して、それからテーブルを拭いて、
服をたたんで、ランプのホコリを落として、最後に掃除機を…」
とか考えていると、それだけで脳内のメモリを食い、行動する気力がなくなります。
ADHD的には、「手順を考えない、効率を考えない」です。
目についたものからやる。
やりたいもの、気になっていたことからやる。
途中で気がそれたら、そこをやる。
どんな非効率で不合理な動き方でも、最終的にすべてきれいになればOK!です。
私は洋服をしまっている途中に「あ!窓の結露拭きたいんだった!」と思い出し、
ベッドの上に放り出した洋服が残っていることなんてザラにあります。
それでも、最終的にしまえばいいので、通りがかったときについでにしまったり、
寝るときにしまったり。
逆に、「いやいや、まずは洋服を片付けよう」と思って我慢してしまうと、
だいたい窓の結露のことを忘れてしまい、
「あー!!終わったとおもったのに!結露あるやん!!」とショックを受けて、
掃除が嫌いになってしまいます。
掃除ごときに、少ない頭のメモリを使わない。
これが大事です。
3.生活を一部屋ですまそうとしない
何部屋かある生活をしていると、だいたいリビングで生活が完結するように
なっていませんでしょうか。
ソファにコートを置いたり、読みかけの本や充電器が集結していたり、
使う頻度の低い文具類や、仕事用のカバンとよく使うおでかけカバンを
クローゼットとはまた違う場所に置いていたり。
こういった、「最小限の移動で済まそう」とすると、絶対に散らかります。
そして、リビング以外の部屋が物置化し、使っていないものが堆積します。
私は、「物に家賃を払わない」と決めています。
帰ってきたら、グルグルいろんな部屋を回って、洋服をしまい、部屋着を出し、
カバンを所定の場所にしまい、カバンの中身を出してリビングへもっていきます。
家賃がもったいないから、すべての部屋を活用してやる!という
貧乏根性も少なからず入っていますが、そのおかげでリビングに物は増えません。
そして、散らかりにくい部屋になっていくのです。
部屋を移動する体力はいりますが、脳のメモリを食わないのもポイントです。
4.物の位置を自分に合わせるのではなく、自分を物に合わせる
最初に、「これはココにしまう!」と決めても、さっと取り出せる場所に
結局おいておいたり、一時置き場から景色化して見えなくなった物が
たくさんありませんでしょうか。
「景色化」と私は呼んでいますが、そこに在るのが当たり前になった物というのは
景色と同化してしまい、認識できなくなるのですよねぇ。
余談ですが、「メモをふせんに書いて貼っておく」と、ふせんは速やかに景色化する
性質を持っていて、「そこに貼っているのに見ない」ことが多すぎてやめました。
私は、「自分が使いやすい場所に物をしまう」のではなく、「物がそこにあってほしい
場所」を優先し、「少々不便でも取りに行き、しまう」ことにしています。
すると、失くしても「たしかここにあったはずなのに」ということがなくなります。
「私はここにこれをしまうと決めた」と覚えていると、絶対にそこにあるからです。
ただ、「アクション数」というのでしょうか、ほしいものを取り出すまでの手数を減らしたり(たとえば、引き出しにしまうことは決めても、引き出しの中にさらに箱を作って蓋をしたりはしない)、身長や体格にあわせて取り出しにくければ変更したりはします。
でも、かならず「物の住所を決めたらそこに自分が取りに行く」ことです。
ADHDは、「一度取り出すと、しまうのを忘れてしまうんです」という方が多いですが、
忘れているのを見つけたら、しまうのでいいのではないですか。
別に、何かと競争していたり、一回でも戻し忘れると爆発するわけではないのです。
私もよく戻し忘れますが、思い出したらしまいなおす、の繰り返しです。
危険なのは、その辺に「とりあえず」しまうことです。
一時ボックスなど論外です!(何度もいっぱいになり、そのうち底の層は何があるのか忘れ去る、を繰り返していました…)
5.掃除と片付けは、友達と電話しながら、YouTubeやラジオを聴きながらする
ADHDの特徴は、「ひとつのことに長く集中できない」ことにも表れます。
なので、逆に、二つのことをいっぺんにすると、作業ははかどります。
電話で会話をしたり、YouTubeを聞いているときに、「集中してそれ以外のことをするな」というほうが苦痛でしょう。
なので、掃除をしているときにそれらをしていると、脳内のメモリがパンクせずにすみます。漏電したときに、アースで電流を他に流してやる要領です。
すると、楽しく会話しているうちに、YouTubeで新しい知識を得ているうちに掃除がすんじゃった!となって、掃除が続けやすいのではないかなと思います。
ここまで読んでお気づきだと思いますが、ADHDの片付けで大切なことは、
いかにして片付けに割く脳内メモリを少なくするか、です。
また、ストレスは本人にとって強すぎる電圧となってしまうので、
どうやってほかに分散してやるか、です。
片付けのために新たな習慣を増やしたり、トリッキーな収納を考えたり、
効率の良い片づけ方や掃除の仕方を考えて実行するのは大変なのです。
そういうのは、掃除や片付けが得意な方にまかせておきましょう。
それよりも、「幸運!」とかフワッとしたモチベーションではじめ、
目についたものから片付けていき、
頭ではなく体力を使い、
美しい部屋をながめてうっとりして、
そんな自分に酔いしれる、というのが、ADHD的なのかな、と思います。
私は自分を含めて、そういったADHDの「地道じゃないところ」が大好きです。
ぜひ、ぐっちゃぐちゃな汚部屋を眺めて、全然必要ないけど気になっていたところ(天蓋ベッドが欲しいのにスペースがない!とか笑)から、少しずつはじめていってくださいね。
過集中には気をつけて!(笑)
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